美容師がトリートメントをすすめる理由。私がすすめなくなった理由

ヘアケア

美容室に行くと、カットやカラーのほかにトリートメントをすすめられたことはありませんか?

「今日は髪が傷んでいるのでトリートメントをした方がいいですよ」

「こちらのトリートメントなら、もっと髪がきれいになりますよ」

などなど。

もちろん、髪の状態によってトリートメントが必要なこともあります。

でも、ちょっと考えてみてください。

本当にそのトリートメントは必要なのでしょうか?

私は美容師歴30年になりますが、現在、自分のお店では追加のトリートメントをおすすめすることはありません。

なぜなら、すべてのメニューに必要なトリートメントやケアを組み込んでいるからです。

今回は、美容師がトリートメントをすすめる理由と、私がすすめなくなった理由をお話しします。

美容師がトリートメントをすすめる本当の理由

少し美容業界の裏側のお話をします。

美容師がトリートメントをおすすめする理由には、もちろんお客様の髪をきれいにしたいという思いもあります。

でも、実は売上のためにおすすめしている場合もあるんです。

私も昔は雇われている美容師でした。

毎月、店長から売上目標や店販商品の販売目標を言われていました。

そして、こんなことを言われたこともあります。

「美容師は技術職じゃない。営業技術職なんだ!」

さらに、トリートメントについては、髪の状態に関係なく全員におすすめするように言われていたんです。

理由は簡単。

「全員に声をかければ、それだけ売れる確率が上がるから」

当時は、こんなセリフを毎回のように言っていました。

「本日はトリートメントはいかがしますか?3種類あって、2,000円、3,000円、4,000円とあります。一番おすすめは4,000円のトリートメントです」

すると、お客様からは、

「うーん。今日は3,000円のにしとこうかな〜」

というお返事。

私は心の中で、

「いやいや、今4,000円のがおすすめって言ったやん!何この会話(笑)」

なんて、一人でツッコミを入れていました。

でも、今考えると当たり前なんですよね。

お客様からすれば、3種類のトリートメントの違いなんて分からないんです。

説明されても、自分の髪にどれが必要なのかなんて、なかなか判断できませんよね。

結局、お客様が一番分かりやすい判断材料は金額だったんです。

でも、これっておかしな話だと思いませんか?

本当にその人の髪に4,000円のトリートメントが必要なら、なぜ3,000円や2,000円のものまで選択肢に入れるのでしょうか?

逆に2,000円のトリートメントで十分なら、なぜ4,000円のものをおすすめするのでしょうか?

もちろん、予算に合わせて選べること自体が悪いわけではありません。

ただ私は、お客様にトリートメントの種類を選んでもらう前に、美容師がその人の髪に何が必要なのかを判断するべきだと思うんです。

当時は売上のために全員へおすすめしていた私ですが、今は考え方が変わりました。

私がトリートメントをおすすめしない理由

現在、私の美容室では追加のトリートメントをおすすめすることはありません。

なぜなら、すべてのメニューに必要なケアを最初から組み込んでいるからです。

そして、その人の髪の状態に合わせて使用するものを変えています。

私は、トリートメントの種類をお客様に選んでいただく必要はないと思っているんです。

例えば、怪我をして病院に行ったとします。

そこで先生から、

「今日は包帯にしますか?絆創膏にしますか?それとも消毒だけにしますか?」

なんて聞かれないですよね(笑)。

先生は怪我の状態を確認して、必要な処置を判断しますよね。

私は美容室のトリートメントもそれと同じだと思っています。

お客様は、髪をどうしたいのか、何に困っているのかを教えてくださればいいんです。

そのために何が必要なのかを考えるのが美容師の仕事だと思っています。

もちろん、髪の状態によって必要なケアは違います。

カラーをする方と縮毛矯正をする方では、髪への負担も違いますし、同じカラーでもダメージの状態は人それぞれです。

だからこそ、その人に合わせて必要なケアを選んでいます。

お客様がトリートメントを選ぶのではなく、美容師が必要なものを判断する。

そして、なぜそのケアが必要なのかをきちんと説明する。

私はそういう考えで施術しています。

美容師には営業より技術に集中してほしい

私がお店を経営するうえで大切にしていることがあります。

それは、美容師が余計な営業をしなくてもいい環境を作ることです。

美容師は技術職です。

私は、お客様の髪を見て、どうすればきれいにできるのかを考えることに集中してほしいんです。

美容師って、営業が苦手な子も多いんですよ。

でも、お店から売上目標や店販目標を言われている以上、おすすめしないといけないこともあります。

私自身、そういう環境で働いていたので、その気持ちも分かります。

もちろん、美容室を経営する以上、売上は大切です。

私も経営者ですから、売上を考えないわけにはいきません。

ただ、その売上を作るために、お客様へ必要以上のメニューや商品をおすすめするのは違うと思っています。

店販商品についても同じです。

私のお店では、まず技術に納得していただくことを大切にしています。

そして、お客様が「家でも使ってみたい」「何を使えばいいですか?」と相談してくださったときに、初めて商品の説明をします。

その際も、基本的には私自身が実際に使っているものをおすすめしています。

自分が使っていない商品を、売上のためだけにおすすめすることはしたくありません。

昔の私はそういうこともしていました。

だからこそ、今は同じことを繰り返したくないんです。

まずは技術で納得していただく。

商品を販売するのは、その先にあるものだと思っています。

最後に|トリートメントをすすめる美容師が悪いわけではありません

ここまで読んで、トリートメントをすすめる美容師が悪いと思われたかもしれません。

でも、私はそうは思っていません。

必要なトリートメントはありますし、お客様の髪をきれいにしたいと考えてすすめている美容師さんもたくさんいます。

また、お店の方針で販売しなければいけない美容師さんもいると思います。

私自身もそうでしたからね。

ただ、美容師として30年間働いてきて思うのは、トリートメントを販売することと、髪をきれいにすることは必ずしも同じではないということです。

昔の私は売上のために商品をすすめていました。

でも、今は美容師として、本当に必要なものを必要なだけ使いたいと思っています。

お客様には、あれもこれもと悩んでほしくないんです。

髪の悩みを相談していただいたら、何が必要なのかは私たち美容師が考える。

そして、その技術と結果に納得していただく。

私は、それが美容師としての責任だと思っています。

コメント