美容師として30年間、髪をきれいにするための技術やヘアケア商品にたくさん触れてきました。
若い頃は、髪をきれいにしたければ、何か良いものを足せばいいと思っていた時期もありました。
高いトリートメントを使ったり、オイルをつけたり、髪に良いと言われるものをいろいろ試してみたり。
でも、40代後半になった今は、考え方がずいぶん変わりました。
必要なものは足す。必要ではないものは減らす。
とてもシンプルですが、今の私にはこれが一番しっくりきています。
実際に、睡眠や食生活を見直し、ヘアケアの方法も変えてみました。
すると、髪だけでなく、肌や体調にも自分なりにうれしい変化を感じるようになったんです。
今回は、50代を迎えるこれからの私が、何を増やして何を減らしたのか。そして実際にどんな変化を感じたのかをお話しします。
増やしたこと① タンパク質を意識した食生活
私が以前より意識するようになったことの一つが、食事です。
特にタンパク質をきちんと取ることを心がけるようになりました。
髪の主成分はケラチンというタンパク質なので、髪をつくるためにも、タンパク質を含めたバランスの良い栄養は必要です。
ただ、実際に食生活を変えてみて、私が先に変化を感じたのは髪ではありませんでした。
肌だったんです。
以前より肌の調子が良くなったと感じるようになりました。
もちろん、タンパク質だけのおかげなのか、食事全体のバランスが良くなったからなのかは分かりません。
でも、自分の体に入れるものを見直すことの大切さを感じました。
そして、実はもう一つ大きな変化がありました。
以前の私は、体重が60kgを超えていたんです。
それが食生活を見直して、10kg以上体重が減りました。
髪をきれいにしたいと思って始めた食事への意識が、結果的に体重管理にもつながったんですね。
食生活を見直していた間は、タンパク質だけでなくビタミン類などの栄養も不足しないように意識していました。
体重が大きく減ると顔のたるみが気になることもありますが、私自身は思っていたほど気になりませんでした。
ただ、これは私個人の経験です。ビタミンを取ったから顔がたるまなかったと証明できるわけではありません。
体重の減り方や肌の変化には個人差があります。
でも、私にとっては、ただ体重を減らすことだけを考えず、栄養にも目を向けてよかったと思っています。
髪のために始めたことなのに、肌や体にも目を向けるきっかけになりました。
なんだか、ちょっと得した気分です(笑)。
増やしたこと② 睡眠時間だけでなく、寝る時間も意識する
もう一つ変えたことが睡眠です。
以前より早く寝ることを意識するようになりました。
昔から「夜10時から深夜2時はお肌のゴールデンタイム」なんて言われていましたよね。
私もその時間を意識して、夜更かしを減らすようになりました。
実際に早寝を心がけるようになって感じたのは、翌朝の疲れの残り方が違うこと。
以前より朝が楽に感じられ、元気に仕事へ向かえる日が増えました。
美容師の仕事は立ち仕事ですし、お客様と接するためにも体調は大切です。
朝から疲れていたら、髪のお手入れ以前に自分がしんどいですからね。
ただ、ここで一つ知っておいてほしいことがあります。
最近は、午後10時から午前2時という特定の時間に眠るだけで美容効果が高まる、という考え方には十分な根拠がないとされています。
大切なのは、必要な睡眠時間を確保することや、睡眠の質、生活リズムを整えること。
つまり、午後10時に寝ないと肌がきれいにならない、というわけではないんです。
それでも、私にとって早く寝る習慣は合っていました。
寝る時間を意識するようになったことで、翌日の体調が良くなったと感じています。
髪のために何かをつける前に、まず自分の体を休ませる。
今はそれも大切な美容習慣だと思っています。
増やしたこと③ 髪をすっぴんにするヘッドスパ
そして、髪のお手入れで意識するようになったのが、髪や頭皮をすっきり整えることです。
私はこれを「髪をすっぴんにする」という感覚で考えています。
髪には日常的にトリートメントやオイル、スタイリング剤など、いろいろなものをつけていますよね。
もちろん、それぞれ必要な役割があります。
でも、髪質や使い方によっては、付着物が重なって髪が重たく感じたり、べたついたりすることもあります。
私は、そんなときにさらに何かを足すのではなく、一度余分な汚れや付着物を洗い流して、髪の状態を確認するようにしています。
その一つが、髪や頭皮の洗浄を意識したヘッドスパです。
ヘッドスパをしたからといって、傷んだ髪が健康な状態に戻るわけではありません。
ただ、余分な付着物を落とすことで、髪本来の軽さや手触りを感じやすくなる場合があります。
私自身、髪にいろいろなものを重ねるより、まずはすっきりした状態に整える方が扱いやすいと感じています。
足すことばかりを考えず、いったん引いてみる。
これも、長年美容師をしてきて変わった考え方の一つです。
減らしたこと① ヘアカラーの頻度
私が減らしたことの一つが、ヘアカラーです。
以前は、髪色をきれいに保つためにカラーをすることが当たり前でした。
でも今は、必要以上に繰り返さなくてもいいのではないかと思っています。
もちろん、ヘアカラーが悪いわけではありません。
白髪をカバーしたり、髪色を楽しんだりすることは、気持ちを明るくしてくれることもあります。
ただ、一般的なヘアカラーは髪への負担がゼロではありません。
頭皮への刺激や、使う薬剤によってはアレルギーのリスクもあります。
私は美容師だからこそ、そのことも理解したうえで、自分自身のカラーの頻度を減らすようになりました。
髪色を変えたいときには楽しむ。
でも、何となく習慣だからという理由だけでは染めない。
そんな考え方になったんです。
年齢を重ねたら、必ず白髪をきっちり染め続けなければいけないわけではありませんからね。
自分がどうしたいのかで決めればいいと思っています。
減らしたこと② トリートメントはたっぷりより少量を続ける
以前の私は、髪をきれいにするためには、トリートメントをたくさん使った方がいいと思っていた時期もありました。
でも、実際にいろいろ試してきて、必ずしもそうではないと感じています。
今の私は、保湿を意識した水分系のトリートメントを、必要な量だけ使うようにしています。
ポイントは、たくさんつけないこと。
以前のようにたっぷり重ねるのではなく、少量を使い続けるようにしました。
すると、私の場合は髪の重さやべたつきが気にならなくなり、サラサラとした手触りになったんです。
これは自分でも大きな変化でした。
トリートメントは、量を増やせば増やすほど髪がきれいになるわけではありません。
もちろん、髪の長さやダメージの状態によって必要な量は変わります。
乾燥しやすい髪には十分なケアが必要な場合もあります。
でも、私自身はたくさん使うより、必要な量を見極めた方が仕上がりが良かったんですよね。
髪に良いものでも、使いすぎれば自分の髪には合わないことがある。
美容師を長くしていても、自分の髪で改めてそう感じました。
減らしたこと③ ヘアオイルとスタイリング剤をやめてみた
もう一つ、私がやめたのがヘアオイルやスタイリング剤を日常的に使うことです。
以前は、ツヤを出したい、まとまりを良くしたいと思って、いろいろなものを髪につけていました。
でも、私の髪では重たく感じたり、付着物が気になったりすることがありました。
そこで、思い切って使うのをやめてみたんです。
すると、髪が軽くなったように感じ、以前より自然なツヤが出ていると感じるようになりました。
もちろん、オイルやスタイリング剤が髪のツヤを奪うという話ではありません。
ヘアオイルには摩擦を抑えたり、髪のまとまりやツヤを補ったりする役割があります。
スタイリング剤も、髪型をきれいに仕上げるために必要なことがあります。
ただ、私の髪には、毎日あれこれつける必要がなかったということです。
髪をきれいにするために使っていたものを減らしたら、かえって自分の好きな仕上がりになった。
ちょっと不思議ですよね(笑)。
でも、これも実際に自分で試してみて分かったことなんです。
50代からは、若い頃と同じ美容法を続けなくてもいい
ここまで振り返ると、私が増やしたのは睡眠や食生活など、自分の体を整えるための習慣でした。
一方、減らしたのはカラーやオイル、スタイリング剤、過度なトリートメントです。
実際に生活を変えてみて、肌の調子が良くなったり、体重が減ったり、朝の疲れが残りにくくなったり。
髪も以前より軽く、サラサラした手触りになったと感じています。
ただ、すべての変化が一つの習慣だけで起きたとは言い切れません。
食事も睡眠もヘアケアも、少しずつ見直してきた結果です。
そして、私と同じ方法がすべての方に合うわけでもありません。
髪が乾燥しやすい方なら、オイルが必要かもしれません。
トリートメントをしっかり使った方が、扱いやすい髪もあります。
大切なのは、年齢だけでケアを増やすのではなく、今の自分の髪や生活に何が必要なのかを考えることです。
私は40代後半になった今、20代の頃と同じ髪を目指そうとは思っていません。
年齢によって髪が変わるのは、ある意味自然なこと。
もちろん、きれいでいたいという気持ちはあります。
でも、そのために無理を重ねる必要はないと思っています。
年齢に抗うのではなく、ゆっくり穏やかに歳を重ねていく。
今の私には、そんな美容の考え方が合っているんです。
最後に|必要なものを足して、必要ないものは減らす
30年間美容師をしてきて、髪をきれいにするための方法をたくさん学びました。
そして、自分自身が年齢を重ねる中で、少しずつ考え方も変わりました。
何か良いものを見つけたら、すぐに足す。
そんな美容から、今は必要なものだけを選ぶ美容へ。
タンパク質を意識して食事を見直す。
早く寝て、体を休ませる。
髪や頭皮をすっきり整える。
トリートメントは必要な量だけ使う。
そして、今の自分に必要ないものは減らしてみる。
特別な美容法ではありませんが、私にはこれが合っていました。
美髪習慣は、何かをたくさん頑張ることではないと思います。
必要なものは足す。必要ではないものは減らす。
無理をせず、できることを続けながら、これからも自分の髪と付き合っていきたいと思っています。

