後頭部がぺたんこになって、なんだか髪型が決まらない。
以前はもう少しふんわりしていたのに、最近はつむじが割れたり、後頭部の丸みがなくなったり。
40代後半から50代にかけて、こうした悩みを持つ女性は少なくありません。
美容師を30年続けてきましたが、後頭部のボリュームについて相談されることは本当に多いんです。
でも、後頭部がぺたんこになるのは、薄毛だけが原因ではありません。
髪の細さやつむじの毛流れ、寝ぐせ、カットの形など、いろいろなことが関係しています。
今回は、後頭部がぺたんこになる理由と、美容室や自宅でできる対策をお話しします。
50代になると後頭部がぺたんこになりやすい理由
年齢を重ねると、以前より髪が細くなったり、ボリュームが減ったりする方がいらっしゃいます。
髪が細くなると、根元が立ち上がりにくくなり、つむじの毛流れや分かれ目が目立つ場合があります。
そもそも髪には、生まれつきの毛流れがあります。
つむじを中心に、髪が放射状に流れている方も多いですよね。
髪がしっかりしている頃には気にならなかった毛流れが、年齢とともに髪のハリやコシが変化することで、強く出ているように感じることもあります。
また、実際に髪の本数が減って、地肌が見えやすくなっている場合もあります。
だから私は、単純に「ボリュームがないからパーマをかけましょう」とは考えません。
まず、何が原因でぺたんこになっているのかを見ることが大切なんです。
毎朝の寝ぐせで、つむじがぺたんこになっていることも
意外と見落としがちなのが、寝ぐせです。
仰向けに寝ていると、後頭部の髪が枕に押されますよね。
朝起きると、つむじ周辺の根元が寝てしまって、頭に張りついたようになっている場合があります。
私は、お客様にこんなことをお伝えすることがあります。
毎朝、顔を洗いますよね。
それと同じように、つむじの寝ぐせも起こしてあげてほしいんです。
といっても、毎朝シャンプーをする必要はありません。
水のスプレーで、ぺたんこになった部分の根元を軽く濡らします。
そして、指で髪を持ち上げたり、毛流れと反対方向に動かしたりしながら、ドライヤーで根元を乾かしてみてください。
最後に、自然な方向へ髪を整えます。
これだけで、後頭部がふんわりする場合もあります。
ポイントは、毛先だけを濡らすのではなく、根元の寝ぐせを直すこと。
髪の表面をいくら整えても、根元が寝ていたらボリュームは出にくいんですよね。
ただし、長年枕で押されることで毛根の生える方向そのものが変わるとまでは言い切れません。まずは、その日の寝ぐせを整えることから始めてみてください。
美容師はカットで後頭部のボリュームを作ることもある
後頭部がぺたんこになると、髪をすくのが怖くなる方もいらっしゃいます。
髪が少なくなっているのに、さらに減らしたらもっとぺたんこになると思いますよね。
でも、実はそうとは限らないんです。
髪が重すぎることで、根元が立ち上がりにくくなっている場合もあります。
そんなときは、必要な部分の毛量を調整することで、ふんわりしやすくなることがあります。
また、私が使うカット方法の一つに、つむじの内側に短い毛を作り、上に重なる髪を支えるという方法があります。
全部の髪を短くするのではなく、内側の髪の長さを調整して、上の髪が立ち上がりやすいように考えるんです。
ただし、これは誰にでもできる方法ではありません。
髪の量や生え方によっては、短い毛が飛び出してしまったり、かえって地肌が目立ってしまったりすることもあります。
だからこそ、髪の状態を確認してから判断します。
美容師の仕事は、ただ短く切ることでも、たくさんすくことでもありません。
その人の髪が、どうすればきれいな形になるのかを考えること。
私はそこが大切だと思っています。
ヘアリセッターやパーマという方法もある
つむじの割れや毛流れが気になる場合、私の美容室では「ヘアリセッター」という技術を取り入れています。
ヘアリセッターは、専用の器具を使って、根元付近で交差している毛髪などに働きかけ、毛流れを扱いやすくすることを目指す技術です。
つむじが割れやすい方などに、状態を見ながら使用しています。
ただし、毛根の向きを永久に変えるものではありませんし、薄くなった髪を増やす技術でもありません。
髪の状態によって向き不向きがあります。
また、後頭部をふんわり見せたい場合には、パーマを提案することもあります。
カットだけでは作りにくい丸みや動きを補える場合があるからです。
ただ、パーマは薬剤を使う施術なので、髪への負担も考えなければいけません。
特に年齢とともに髪が細くなっている方や、カラーなどでダメージがある方には慎重な判断が必要です。
私の場合は、カットでできるのか、ヘアリセッターが合うのか、パーマが必要なのかを、髪の状態に合わせて考えます。

カットやパーマだけでは難しい場合は?
後頭部のボリューム不足には、実際の薄毛が関係している場合もあります。
髪の本数が減っていたり、地肌が大きく透けて見えていたりすると、カットだけで十分なボリュームを作ることが難しい場合もあるんです。
そんなときは、無理にカットやパーマだけで解決しようとは思いません。
部分ウィッグを提案することもあります。
ウィッグは、髪型を自然に整えたり、気になる部分をカバーしたりするための一つの選択肢です。
もちろん、最初からウィッグをすすめるわけではありません。
カットやパーマでできることを考えたうえで、その方がどんな仕上がりを希望しているかを大切にします。
また、急に抜け毛が増えた、地肌が目立つようになったなど、薄毛そのものが気になる場合には、皮膚科で原因を確認することも大切です。
美容室は髪型を整える場所ですが、薄毛の原因を診断する医療機関ではありません。
できることと、できないことをきちんと考えて提案したいと思っています。

最後に|後頭部がぺたんこでも、あきらめなくて大丈夫
50代になって後頭部がぺたんこになると、年齢のせいだから仕方がないと思ってしまうかもしれません。
でも、髪が細くなったことだけが原因とは限りません。
つむじの毛流れや寝ぐせ、カットの形によっても、後頭部の見え方は変わります。
まずは毎朝、根元を少し濡らして、つむじの寝ぐせを起こしてみてください。
それでも気になるなら、美容師に相談してみるのも一つの方法です。
カットで改善できることもあれば、ヘアリセッターやパーマが合う場合もあります。
必要なら、部分ウィッグという選択肢もあります。
大切なのは、髪を無理に増やそうとするのではなく、今ある髪をどう生かすか。
私は美容師として、その方に合った方法を一緒に考えていきたいと思っています。
