白髪染めはリタッチと全体染め、どっちがいい?美容師30年の考え

白髪・エイジング

「今日は根元だけにしますか? それとも全体を染めますか?」

美容室でこんなふうに聞かれて、迷ったことはありませんか?

根元だけだと毛先の色が気になるし、全体を染めた方がきれいになりそう。

でも、毎回全体を染めると髪が傷むとも聞くし……。

結局、どっちがいいの?

私は美容師を30年間続けていますが、髪のダメージを考えるならリタッチ、雰囲気やデザインを変えたいなら全体染めをおすすめしています。

ただし、どちらが正解かは、その方の髪の状態やカラーの頻度によって変わります。

今回は、美容室で実際にどのように判断しているのか、お客様とのエピソードも交えてお話しします。

リタッチと全体染め、髪に優しいのはどっち?

まず、リタッチとは、新しく伸びてきた根元を中心に染めることです。

一方、全体染めは、根元から毛先まで髪全体の色を整えるカラーリングです。

私がダメージを考えてリタッチをおすすめする理由は、すでに染めている毛先に、何度もカラー剤を重ねなくて済むから。

一般的なアルカリカラーは、髪の内部に働きかけて色を変えるため、繰り返すことでダメージが蓄積する場合があります。

例えば、毎月白髪染めをするロングヘアの方。

根元は新しく生えてきた髪ですが、毛先は何年も前から伸ばしている髪です。

そこへ毎月カラー剤を重ねていたら、どうでしょう?

毛先は何度も薬剤の影響を受けることになります。

だから私は、毛先の色がまだきれいなら、無理に全体を染める必要はないと思っています。

詳しくは 白髪染めで髪・頭皮が痛む本当の理由 でもお話ししています。

ただし、リタッチでも薬剤による負担がゼロになるわけではありません。

髪への負担と頭皮への影響は、分けて考える必要があります。

毎月染める人と、半年に1回染める人では違う

私がカラーをするときに考えるのは、前回いつ染めたのかということ。

例えば、毎月白髪染めをする方なら、基本的にはリタッチを中心に考えます。

そして、毛先の退色が気になってきたら、2〜3回に1回程度、全体染めを検討することもあります。

もちろん、これは私の施術例であって、全員がその頻度で全体染めをする必要はありません。

3か月に1回の方なら、毛先のダメージや退色の状態、今回どんな髪型にしたいのかを見て判断します。

半年に1回の方も同じです。

例えば、毛先の明るさをそのまま生かしたいなら、根元だけ染める方が希望に合うこともあります。

逆に、全体の色味を落ち着かせたい、雰囲気を変えたいという場合には、全体染めが向いていることもあります。

つまり、カラーの間隔だけで決めるのではなく、髪の状態と仕上がりの希望で決めるということ。

私は、このバランスが大切だと思っています。

リタッチばかり続けると、毛先の白髪がキラキラすることも

リタッチにも、気をつけたいことがあります。

それは、根元だけ染め続けているうちに、毛先の色が少しずつ抜けてくること。

特に白髪の部分は、退色が進むと光に当たってキラキラして見えることがあります。

根元はきれいに染まっているのに、毛先の白髪だけが明るく見える。

そんなときは、全体の色を整えた方がきれいに見える場合があります。

先日、ロングヘアのお客様から、久しぶりに全体を染めたいと言われました。

私が鏡越しに見たときには、毛先の白髪はそれほど気にならなかったんです。

でも、カラーが終わると、お客様は自分で毛先を手に取って、じっくり確認されていました。

そして、

「ちゃんと染まってる」

とおっしゃったんです。

ああ、なるほど!と思いました。

ロングヘアだと、自分で毛先を手に取って、近くで確認できますよね。

美容師が鏡越しに見ている状態と、お客様が普段気にしている部分は違うこともあるんです。

だから私は、自分が気にならないからリタッチでいいと決めつけず、お客様がどこを気にしているのかを聞くようにしています。

全体染めをするときも、根元と毛先で薬剤を変えることがあります

では、全体染めは髪に悪いのでしょうか?

私は、そうは思いません。

全体の色を整えたり、雰囲気を変えたりするには、全体染めが必要なこともあります。

ただし、根元も毛先も同じ条件で染めればいいわけではありません。

新しく生えてきた根元と、何度もカラーをしている毛先では、髪の状態が違います。

私の美容室では、毛先に保護剤を使ったり、薬剤を塗るタイミングをずらしたりしています。

毛先のダメージに応じて、薬剤そのものを変えることもあります。

すでにダメージのある毛先に、新しく生えてきた髪と同じ強さの薬剤が必要とは限らないからです。

もちろん、こうした工夫をしてもダメージが完全になくなるわけではありません。

それでも私は、できるだけ髪の負担を抑えながら、お客様の希望する髪色に近づけたいと思っています。

白髪染めとおしゃれ染めの薬剤の違いについては、白髪染めとおしゃれ染めは何が違う?美容師が使い分ける理由 でも紹介しています。

白髪染めは何週間おきが理想?

「次はいつ染めたらいいですか?」

これも、お客様からよく聞かれる質問です。

私の答えは、基本的には「白髪が気になったら」です。

1か月で気になる方もいれば、3か月経ってもそれほど気にならない方もいます。

白髪の量や生えている場所、髪型、普段の分け目などによって、気になるタイミングは違うんです。

実際、お客様の来店周期を見ていると、その方なりのペースがだいたい決まってきます。

ただ、3週間以内など、かなり短い間隔で繰り返し染めている方には、少し間隔を空けられないかお話しすることもあります。

カラー剤を使う以上、髪や頭皮への負担は考えたいからです。

とはいえ、短い間隔で染めたからといって、必ず薄毛になるわけではありません。

ヘアカラーによるかぶれや刺激、毛髪のダメージと、病気などによる脱毛は同じではないんです。

特に、染めた後にかゆみや赤み、腫れなどが出たことのある方は、染める間隔を空けるだけで安全になるとは限りません。使用を控えて皮膚科に相談してほしいと思います。

染める間隔については、白髪染めは3週間ごとに続けても大丈夫?美容師の考え でも詳しくお話ししています。

最後に|ダメージとデザイン、どちらも大切にしたい

リタッチと全体染め、結局どちらがいいのでしょうか?

私の考えは、とてもシンプルです。

髪への負担をできるだけ抑えたいなら、リタッチ。

毛先の退色を整えたり、髪色の雰囲気を変えたりしたいなら、全体染め。

ただし、いつも同じ方法にする必要はありません。

今月は根元だけ。

次回は毛先まで色を整える。

そんなふうに、そのときの髪の状態や気分で変えてもいいんです。

私は、美容師の仕事は白髪を染めるだけではないと思っています。

髪をできるだけ傷ませず、でもおしゃれも楽しんでもらいたい。

大切なのは、ダメージとデザインのバランス。

毎回なんとなく全体を染めるのではなく、「今日は毛先も染めた方がいいですか?」と担当の美容師さんに相談してみてください。

今の髪に必要なところだけ染める。

それも、大人女性がきれいな髪を長く楽しむための方法だと思います。