くせ毛が気になって、若い頃からずっと縮毛矯正をかけている方も多いと思います。
一度まっすぐな髪に慣れてしまうと、縮毛矯正をかけることが当たり前になってきますよね。
また、年齢とともに髪のうねりが出てきたり、パサついて見えるようになったりして、初めて縮毛矯正を考える方もいらっしゃいます。
でも、ちょっと待ってください。
縮毛矯正をかけて髪がまっすぐになれば、必ずきれいに見えるのでしょうか?
私は、そうとは限らないと思っています。
特に50代を超えてくると、髪のボリュームが以前より少なくなったと感じる方も増えてきます。
そんなときに縮毛矯正をかけると、くせはきれいに伸びたのにトップがぺたんこになったり、前髪の薄さが気になったりする場合もあるんです。
縮毛矯正は髪の悩みを解決するための技術です。
でも、一つの悩みが解決したのに、また違う悩みが出てきては意味がないと思うんですよね。
今回は、美容師歴30年の私が、大人女性の縮毛矯正で大切にしていることをお話しします。
縮毛矯正をかけたのに老けて見えるのはなぜ?
縮毛矯正をかけると、くせやうねりが伸びて髪がまとまりやすくなります。
毎朝、髪をまっすぐにするために時間をかけていた方にとっては、とても便利な技術ですよね。
ただ、私は大人女性の縮毛矯正では、まっすぐにすることだけを考えてはいけないと思っています。
特に気をつけたいのが、トップや顔周りのボリュームです。
50代を超えてくると、髪が細くなったり、以前よりボリュームが出にくくなったりする方もいらっしゃいます。
そこに縮毛矯正をかけて、必要なボリュームまでなくしてしまうと、トップがぺたんこになり、かえって薄毛が目立ってしまう場合もあるんです。
前髪も同じです。
今までくせによってふんわりしていた部分が、まっすぐになることで額に張りつくように見えることもあります。
もちろん、最近は薬剤や施術方法も進歩していて、自然な丸みや柔らかさを意識した縮毛矯正もできます。
ただ、それでも仕上がりが思ったよりまっすぐすぎると感じる方もいらっしゃいます。
くせが伸びたから成功なのではなく、その人に似合う髪型になっているかが大切なんです。
全体に縮毛矯正をかける必要はありません
私は、大人女性には部分的な縮毛矯正をおすすめすることもあります。
例えば、前髪のうねりだけが気になる方なら前髪だけ。
サイドが広がってまとまらないならサイドだけ。
トップにくせがあって扱いにくい場合は、その部分だけを検討することもあります。
つまり、必ずしも全部のくせを伸ばす必要はないんです。
ただし、トップのボリュームを残したい方には、その部分をあえてかけないという判断もあります。
どこに縮毛矯正をかけて、どこのくせを残すのか。
これは、今の髪型と、その人がどうなりたいのかによって変わってきます。
例えば、トップに自然なふんわり感がある方なら、そのくせを生かした方がきれいに見える場合もあります。
逆に、くせが強くて髪がまとまらない部分だけを縮毛矯正で整えることで、全体のシルエットがきれいになることもあるんです。
私は、全部をまっすぐにするよりも、必要なところだけを整える方が、その人に似合う場合もあると思っています。
縮毛矯正と毎日のアイロン、どちらが髪に負担がかかる?
これは、お客様にも知っておいてほしいことです。
縮毛矯正をかけるのと、毎朝ヘアアイロンを使うのでは、どちらが髪に負担がかかるのでしょうか?
実は、これは一概には言えないんです。
縮毛矯正は、薬剤と熱などを使って髪の内部の結合に働きかけ、くせを伸ばした状態を長く保つ技術です。
例えるなら、髪の形を内部から変えるようなもの。
一方、普段のヘアアイロンは、熱によって一時的に髪の形を整えるものです。
ただし、アイロンだから髪が傷まないというわけではありません。
熱の与えすぎは、髪のダメージにつながります。
私が判断するときに考えるのは、髪の長さやダメージの状態、そして普段どのくらいアイロンを使うのかということです。
例えば、前髪が5cm程度の短いスタイル。
毎朝その部分だけをアイロンで整えるのと、30cm以上あるロングヘアを毎朝全体的にアイロンするのでは、熱を当てる範囲も髪に残る期間も違います。
短い髪はカットによって毛先が比較的早く入れ替わります。
一方、ロングヘアの毛先は何年も前に生えた髪なので、それまでのカラーやアイロンなどによるダメージが積み重なっている場合があります。
例えば、5年前に生えた髪の毛先と、2年前に生えた髪の毛先では、それまでに受けた施術や熱の履歴が違うこともあるんです。
だから私は、毎朝アイロンをするより縮毛矯正をかけた方が扱いやすくなる方もいれば、短い部分だけをアイロンで整えた方がよい方もいると考えています。
ただし、どちらが髪への負担が小さいかは、薬剤の種類や髪の状態、アイロンの温度や使用頻度によっても変わります。
縮毛矯正かアイロンかを選ぶときは、今の髪型だけでなく、これから髪をどう維持していくかまで考えることが大切なんです。
加齢によって変化した髪ほど縮毛矯正は慎重に
年齢を重ねると、髪が細くなったり、ハリやコシがなくなったり、うねりが出てきたりする方もいらっしゃいます。
私は、こうした髪の変化がある方ほど、縮毛矯正は慎重に行う必要があると思っています。
なぜなら、すでにカラーや日常の熱などでダメージを受けている場合、さらに縮毛矯正を重ねることで髪が傷んでしまう可能性があるからです。
せっかくうねりがなくなっても、毛先がパサパサになったり、髪が切れやすくなったりしては困りますよね。
髪は、一度傷むと生物学的に元の健康な状態へ再生することはありません。
トリートメントで手触りを良くしたり、扱いやすくしたりすることはできます。
でも、傷む前の髪そのものに戻すことはできないんです。
だから私は、縮毛矯正をする前に、現在の髪の状態や過去の施術履歴を確認することが大切だと思っています。
くせをしっかり伸ばすことよりも、これ以上髪に負担をかけないことを優先した方がいい場合もあります。
縮毛矯正は、かける技術だけではなく、かけないという判断も大切なんです。
美容師には「まっすぐにしたい」だけでなく、どう見せたいかを伝えてほしい
縮毛矯正を希望されるお客様には、私はぜひ考えていただきたいことがあります。
それは、髪をまっすぐにすることが最終目的なのか、それとも今の髪を扱いやすく、きれいに見せたいのかということです。
例えば、
「朝のセットを楽にしたい」
「トップのボリュームは残したい」
「前髪だけうねるので、そこを何とかしたい」
「広がりは抑えたいけど、ぺたんこにはしたくない」
このように具体的に伝えていただくと、美容師も施術方法を考えやすくなります。
縮毛矯正を全体にかけるのか、部分的にかけるのか。
それとも、カットや普段のスタイリングで対応する方がいいのか。
選択肢はいくつもあります。
特に大人女性の場合は、髪のボリュームや顔周りのバランスによって見た目の印象が変わります。
私は、ただくせをまっすぐにするのではなく、その人がどうなりたいのかを大切にしたいと思っています。
最後に|まっすぐな髪より、似合う髪を
縮毛矯正は、くせ毛やうねりに悩んでいる方にとって、とても便利な技術です。
毎日のスタイリングが楽になったり、湿気で広がりにくくなったりすることもあります。
でも、まっすぐになったからといって、必ずしも若々しく見えるわけではありません。
トップのボリュームがなくなったり、前髪が薄く見えたり、髪が傷んでパサついてしまったり。
そんな新しい悩みが出てきては、私は意味がないと思っています。
大切なのは、縮毛矯正をかけるかどうかではなく、今の自分にどんな髪型が似合うのかということ。
そのために縮毛矯正が必要ならかければいい。
必要なければ、無理にかけなくてもいいんです。
縮毛矯正は髪をまっすぐにするための技術ですが、私たち美容師の仕事は、その人をきれいに見せることだと思っています。
私は、これからもそんな考えで大人女性の髪と向き合っていきたいと思っています。

